最も可哀そうな結末
【アオスジアゲハ幼虫姉妹と酷暑】その10
今回は、私が初めて経験した、最も可哀そうな結果を語る最終回です。
可哀そうすぎる話が嫌な方は、本文を読まず、ここで引き返してください。
姉蛹の羽化を待たずに出社して帰宅した時。
さぞ腹ペコでぶら下がっているだろうと思って覗き込んでみると。
あれ?ぶら下がっていない。蛹が転がっているままです。
羽化の時間を見誤ったかと思って、よく見たら、
蛹の中に液体が充満していました。
あ。これは最悪の羽化失敗だと気がつきました。
蛹殻から脱出できなくて、排泄噴射の力を借りようとした結果、
蛹の中に便が充満して窒息する、という。
蛹にヒビと破れが見られたのは、もがいた痕なのか蟻にやられた傷なのか。
これで空気が入ってしまったので、
蛹の中で翅は伸びることなく固まってしまったことでしょう。
状況だけでも知っておこうと、蛹の殻を剥いてみることにしました。
肩や尻尾の殻は、触れるだけでポロポロ剥がれて、
胴体はすぐに出てきましたが、
羽化の一番最初に割れて外れるはずの、頭の部分が剥がれません。
強めに引っ張って抜き取りましたが、
通常の羽化のように縦に割れるようなことは、ありませんでした。
頭の部分が割れず剥がれなかったのでは、脱出できなかったわけです。
血がにじむほど糸が食い込んだせいか、蟻にやられたせいなのか、
後頭部の循環に問題が生じたということでしょう。
と、蛹の中身が動き始めました!生きていたのか!
ボウルの壁に向かって這いながら、
二つに割れた口吻を一つにしようとしています。
私が彼女でもそうするでしょう。
時間がたちすぎて手遅れだろうとは思いましたが、
手を貸して、壁の上縁に捕まらせてやりました。
そのまま、翅を伸ばそうと頑張る姉蝶(写真)。
写真の姿は、触覚の位置を除けば、
羽化直後の正常な姿と違いが見られません。
けれども、
一夜おいても翅が伸びることは無く、
もっと致命的なことに、口吻が一つになることもありませんでした。
触角も動かず、後肢も動かず。
翌日、這ううちに中肢が一本取れてからは、
立つことも難しくなりました。
スポイトでポカリスエットを口に垂らしてやりましたが
飲めている気配もなく。
庭の花に持って行ってみましたが、つかまれずに落ちてもがくのみ。
顔を花に近づけても反応せず。
3日目には寝たきりとなり、
羽ばたこうというのか、時折肩を動かすのみとなりました。
その状態で4日目までは生きていましたが、
5日目帰宅した時には、硬くなっていました。
求愛されること、産卵、せめて、飛ぶこと。
何ひとつできず、蜜の甘ささえ知ることなく逝った姉蝶でした。
「食べないから死ぬのではない。死ぬから食べないんだ」という言葉が
何度も頭に浮かびましたが、これは、人が老衰で死ぬときの話です。
どう終わらせるのが良かったのか。
今年の酷暑は、幼虫時代に、そして蛹時代に、
こうして命を落とした蝶が多かったと思われます。
蟻が蛹を狩る、という聞いたこともない行動も、
そういう獲物が多かったから発生したのかもしれません。
・・・ここまで読んでくださった方。
長々とした悲しい話に最後までお付き合いいただき、誠にありがとうございましたm(__)m。
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Exif情報
- メーカー: OLYMPUS CORPORATION
- モデル: TG-5
- 撮影日: 2025/08/01 21:13:06
- 焦点距離: 9.61mm
- ISO感度: 800
- 絞り値: f/4.5
- 光源: 不明
- 露出時間: 1/100 秒
- 露出プログラム: Creative program
- 露光補正値: -0.3
- ホワイト・バランス: 自動
- 測光方式: 分割測光
- フラッシュ: ストロボ発光せず、強制非発光モード
- 撮影シーン・タイプ: 標準






















コメント
hanexさん、長編の力作お疲れ様でした。
ここまで詳細に観察され画像と記録をよくぞ纏められましたね。
自然界の生き物にとって、日々大きく変わる環境の中、
生き抜くことの厳しさを改めて知ることが出来ました。
ここのところ野暮用でシリーズの一つ一つを勉強させていただくことが
出来ず、大変失礼いたしました。
ですが、改めてhanexさんの豊富な知識と体験…博識さに敬意を表します。
これからも楽しみにさせていただきます。
KUSAMAKURAさん、身に余る嬉しい御言葉をありがとうございますm(__)m
今年はずっと、「写真を撮る」という気持ちも湧かないでいたところに、
アオスジアゲハの卵が来て、
食われた残骸を片付ける毎日になってしまいました。
あまりにも精神ダメージがきつかったので
又ネットで守って世話することになり、
世話をするにはマクロで撮ってチェックしなくてはならなくて・・・
ということで、
撮りためることになった写真です^^;
そうして出会い、可愛いと思って成長を楽しみにするようになっていた
仲良し姉妹のこの2匹。
ダメージを避けるために始めたことで、
大きなダメージを受けることになりました。
人気がない生態ものであり、かつ、
自分自身にダメージが大きかったほどの悲しい話だという
二重の問題を分かっていながら、
この夏撮った中で、私にとってはこれしかなかったほど
重要な件であったというだけの理由で、
シリーズとして投稿してしまいました。
手際の悪い私のこと、シリーズの構成と合成に時間がかかってしまい、
のろのろとした進行にもなってしまいました。
そんなシリーズに付き合っていただけて
更に「楽しみにしている」とまで言っていただけて、
報われた思いです。
苦労して構成し、時間をかけて合成した甲斐がありました。
ありがとうございますm(__)m