薮田 織也

講評サンプルを
見る・聞く
※音声が再生されます。

添削単位 1枚 , 3枚 , 5枚
単価(税込み) 4,860円
※1枚あたりの値段です。
返答期間 3日~7日程度。
得意なジャンル

添削を申し込む

受講生の皆様へ

10 分程度の長さで講評します。メインのポートレートは、フレーミング、ライティング、ポージングの3つの観点で、スナップや風景はフレーミングを主にして講評します。

プロフィール

1961 年生まれ 人物・光景写真家。テレビ番組制作会社、コンピュータ周辺機器メーカーの製品企画と広告制作担当を経て、ライター兼写真家に。初心者にわかりやすい解説が得意。2003 年から StudioGraphics on the Web の創設メンバーとして活動。

講評サンプル

音声データを聞く

依頼内容

Sample Text

回答

写真から、被写体の女性を優しく撮ってあげたい、可愛く撮ってあげたいという撮影者の思いが伝わってきます。和装の女性を撮るために選んだロケーションも良し、フレーミングもまず悪くありません。被写体にとらせたポージングも Good、ライティングにはテクニカルな工夫がされています。優しい思いに溢れた良い写真だと思います。
薮田のポートレート講評における5つのポイント。
1.ロケーショニング ー 被写体の人物をどういった場所で撮影するか
2.スタイリング ー 衣装を筆頭に、被写体の人物をどのように見せるか
3.フレーミング ー 被写体とロケーションをどのように四角く切り取るか
4.ポージング ー ロケーションとスタイリングに合ったポージングを指示
5.ライティング ー 上記4つの要素を最大限に表現
これら5つのポイントは、撮影時に必ずこの順番で考える必要はありません。たとえば自然光を使う場合なら、ロケーショニングの際にライティングも考えておくし、フレーミングとポージングも、別々にではなく同時に考えなければならないポイントです。フレーミングに合わせたポージングをしてもらうのか、ポージングにあわせてフレーミングするのかは、都度臨機応変に対応しましょう。ここまでに挙げた5つのポイントはすべてがポートレート、いわゆる肖像画をより良く撮るための手段です。言い換えると、被写体である人物の個性をより良く引き出すための手段です。
浴衣というスタイルに合った日本庭園という良い場所を選んでいます。また、背景の樹木の濃い緑色は女性の肌を美しく見せる効果があるので、選択としては正解だと思います。ですが、それは人物の肌の明るさより暗い緑の場合が基本です。この写真の場合は残念ながら背景の緑の方が明るいので、もともと暗めの女性の顔がさらに暗く感じてしまいます。これは人物の右側の通路の明るさにも同じことが言えます。吉田さんは人物の暗さを補うためにストロボを撮影者の右側から人物に向かって当てていますが、残念ながらそれほど効果がありません。これは、カメラの露出設定とストロボの発光量のバランスが適切ではないからです。また、自然なライティングという観点からみるとストロボを当てる方向も間違っています。
人物よりも背景が明るい場所で、ストロボを使って撮影する場合は、カメラの露出計が適切と判断した露出設定よりも1段程度暗くなる設定(カメラ側の設定)をします。この写真の場合、絞り f/2.5、シャッタースピード 1/125、ISO 感度が 640 で撮影されていますから、いずれかの値をひとつだけ1段分暗くなるようにします。
・1段暗くする( 以下のうちいずれかをひとつ )
 絞り  f/2.5 → f/3.5
 シャッタースピード 1/125 → 1/250
 ISO 感度 640 → 320
背景のぼかし具合を変えたくない、シャッタースピードはストロボを使う関係上、これ以上速くはしたくないという場合は、ISO 感度で対応するのが適切です。こうして露出設定を1段暗くすると、背景の緑は暗くなりますが、当然人物も同じ程度に暗くなるので、ストロボ側は1段明るい発光量に設定します。このとき、ストロボの直炊きで1段強い発光をすると、人物の顔がてかったり、部分的に明るくなってしまう恐れがあるので、レフ板にバウンス発光させるなどして、なるべく大きな面光源にする必要があります。ただ、バウンス発光は、ストロボから被写体までの距離が伸びるので、それに合わせて発光量をさらに強くする必要があります。もうひとつ、ストロボを当てる方向ですが、より自然なライティングにしたいのであれば、太陽と反対方向から照射するようにしましょう。この写真の場合は、右後方から太陽が射しているので、ストロボは撮影者の左側から当てるのがコツです。ただし、どの方向から当てるにしても、最終的な画面で、太陽光よりもストロボ光が強くなることは避けましょう。もちろん、意図的にストロボを強く当てたい場合は別です。
ポージングとフレーミングを観てみましょう。吉田さんはモデルがとったポーズに対して良いフレーミングをしています。モデルの体と顔の向き、そして視線の方向を意識したフレーミングですね。ですが、もう少しだけ詰めてみましょう。まず一番大切なのは、目線、視線の方向です。視線の方向にスペースを空けるかどうかで、写真の印象は大きく違ってきます。たとえば、この写真で顔と同じ向きに視線が向いている場合、その方向( 左側 )を広く空けると安定感が生まれますが、逆に狭くすると不安要素が強くなります。この写真の場合は、顔は左側を向いているのに、左のスペースが狭くなっていますが、視線が右方向を向いているので、左が狭くても不安定要素にはなりません。ただ、こういうポーズでのフレーミングでは、左側をもう少し狭め、逆に右側をその分空けて、人物の左肩をもう少し入れた方がより安定感が増します。
以上のことを考慮して、吉田さんの写真に少し手直しを加えたのが After の写真です。写真全体を1段暗く編集しなおし、撮影者の左側にストロボを置いた状態をシミュレートして人物の顔だけを明るく起こしました。また、写真左を詰め、人物の顔の位置を少しだけ左に寄せています。さらに、バストショットなので、頭上は少しだけフレームアウトさせました。かなり印象が変わったと思いますがいかがでしょうか。人物の表情も別の意味で明るく感じるはずです。その分、人物の嫋やかさと儚さは多少失われています。嫋やかさと儚さを残したいのであれば、フレーミングはそのままでもよいかもしれません。
このように、フレーミングとポージングの組み合わせで、人物が醸し出す雰囲気も随分と変わります。フレーミングとポージングの使いかたがよくわからないうちは、同じポーズのままフレーミングに変化をつけたり、その逆でフレーミングを固定してポーズを変えてもらうことで、画がどのように変わってくるのかを研究しましょう。

この講師の添削を受けた感想を投稿する

フォトコンテスト情報登録

フォトコンテストシステム「VIPS」

»